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  • 執筆者の写真渡辺仁史

島に若者がいない

「沖縄は長寿県で元気なおじいとおばあがたくさんいる」というのがこれまでのイメージだった。18年前に初めて石垣島に来て島のはずれに小さな家を建てたときにも、街に出るたびにそれを感じていた。


約半世紀の間、大学で18歳から24歳までの大学生と大学院生の中で生活していた私には日常の風景の中にはたくさんの二十歳代がいて、1日の生活時間の大半を学生と共に過ごしていたので石垣島の風景の中に若者が少ないのは敏感に感じていた。島には高校までしかないので彼らは卒業するとほとんどが県外に出ていくというのも聞いていた。




その一方で、マリンアクティビティ関係で働いている若者は結構たくさんいるし、石垣空港に降り立つ人たちの年齢構成を見ても若者がかなり多い。そこで実態を知るために2015年の国勢調査の数値で確かめてみることにした。


石垣市、沖縄県、全国の5歳ごとの年齢別の人口構成比(%)をグラフにしてみると色々なことが見えてきた(このグラフは絶対人数ではなくてあくまでも構成比率を表している)。



年齢別人口構成比(2015年国勢調査)

このグラフを見ると、特に石垣市の20歳から24歳までの人口構成比が激減しているのがわかる。沖縄県ではほぼ全国と同じ程度なのは、石垣市から県外の大学を選択する場合に沖縄本島にある大学を選択する学生が多いことも関係していると思われる。これを見る限りでは石垣島の街中で二十歳台前半の若者に出会う確率が低いのは明らかでうなづける。市街地で歩いている島の大学生を見かけないのは当然なのに、そこそこその年齢の若者が最近多いのは新空港開港以来、島の人気が上がっていることから観光客としての大学生がたくさん来島しているのが一因かもしれない。観光で島を訪れる大学生は服装を見れば一目瞭然である。島出身の現役大学生が一時帰島してもあの様な格好で街中を歩くことはほぼないと言える。さらに、マリンアクティビティの現場で見かける大学生っぽい若者は、かなりの数が県外から来ているアルバイトで、これは国勢調査には含まれない。


「高校を卒業したら一旦は進学あるいは就職のために島を出る」という石垣島の現象をこのグラフは明確に示していると言える。さらに驚くことには、全国に比べて中学校までの人口構成比が圧倒的に多いことである。平均結婚年齢が低く、その割には世帯を保てないためか離婚率も沖縄県はトップだそうで、子どもの貧困は深刻な問題になっている。子どもの率が多い現状に対して石垣市の長期的な政策を今から考えておかないといけないような気がする。


さらにこのグラフから見て取れるのは、私を含む65歳から74歳の人口構成がかなり低いことである。第一次ベビーブームと言われた世代の人口が全国に比べてかなり少ないのはどうしてだろう?なのに55歳から64歳の人口構成比が特に多いのも不思議である。早期定年後の移住者が多いということだろうか、私の周りの移住者の年齢もほぼこのランクに含まれている。などなど、石垣島に特有の年齢構成は、これからの市の政策や経済を見据える上でもとても大事な気がする。

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