折型デザイン研究所の山口さんからいただいた研究報告「つつみ の ことわり」は、江戸中期に伊勢貞丈によって書かれた贈進の際の包みと結びの礼法「包の記」と「結の記」を現代風に読み解いた書物なのですが、礼儀作法としての我が国独特の「折り」のこころを、石垣島の子供未来大学で伝えられないかと試みています。
この中に、のし袋などについている「紙のし」の原型である熨斗鮑包に関する解説があります。その展開図と手順に従って自分で折ってみると、進物に熨斗鮑を添えることが江戸時代には一般化していて、それが形骸化といえども今日まで脈々と続いていることに日本人のこころの置き方の一端をみるような気がします。
伊勢貞丈の「包の記」には、こう書かれていると山口さんが現代語に解釈されました。
「熨斗鮑を包む事。当世の進物では、必ず魚鳥の類を添えるのが、祝の心を示すこととされている。魚鳥を添えない時は、干し肴あるいは熨斗鮑を、百本千本添える。略する時は、熨斗鮑二〜三本を切って、これを紙に包んで添える。(後半略)」とあり、その後、折り方の展開図と完成図が示され解説が書かれています。
矩形(1:√2)の対角線に正中して斜めに放射状に紙を折進んでいく時、神が紙の中に込められ、送る相手への思いと正面から向き合う気持ちにさせられ、礼法の深い意味合いを感じました。この熨斗鮑包の次には、手順は似ているものの、陰と陽の関係にある折型の木の花包みが解説されていて、一枚の白い紙を折ることで光と影がアートのように現れてくる美しさを堪能できました。
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