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執筆者の写真渡辺仁史

風の御主前



石垣島の自然を知る上で、この小説はとても重要だということが、読み終えてやっと分かった。14年目にして初めて石垣島のこの100年あまりの歴史が分かったような気がする。風の御主前(かぜのうしゅまい)とは、気象観測所の主人とでもいう意味。


小説の内容は、石垣測候所の所長を務めた岩崎卓爾に関するもので、石垣測候所に赴任してから亡くなるまでのエピソードが書かれたものだ。そもそも岩崎の名前を知ったのは、庭で鳴いていた小さな蝉を見つけて、その名前を知りたくて調べたところ、これが「イワサキクサゼミ」であることが分かった時だった。


岩崎という昆虫学者が発見したんだろうなぐらいに思っていたのだが、やがてそれが石垣測候所の所長だったことが分かり、どんな人物かずっと興味を持っていた。それが、今年の春になって石垣島の友達のブログでこの本の表紙が紹介されており、そこに岩崎卓爾の名前があったので、すぐにAmazonで取り寄せた。すでに絶版なので中古しか無く、確か68円程度だったと思う。その後、文庫サイズのものも出版されたようで、とりあえず両方購入した。

「風」とは南の島を語るのに常に伴う気象現象であり、風土であり、人々の生き様であることが読み終えるとよく分かる。久しぶりに感動したこの本の記述に従って、当時の島のことを現地で振り返ってみようと思う。


生涯を石垣島の台風観測に捧げた岩崎卓爾をトレースすることも私の生き甲斐になるかもしれない。

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